SOPvol.71大倉別邸『蔵春閣』新発田へ

▲左/10月15日(日)藤塚浜の松塚漁港にて「秋のさかなまつり」
右/月岡温泉 泉慶にて「しばた米コン」最終審査

今号、第1面では、新発田市に寄贈されることになった大倉喜八郎の別邸『蔵春閣』を紹介しました。大倉喜八郎が明治45年に建設し、以後内外の賓客の接待などに使用したもので、世界に雄飛した明治の時代の空気を色濃く反映した名建築です。大倉は設計を伊東忠太に相談し、建築は大倉組(現大成建設)が担当しました。「桃山御殿(聚楽第)の御成りの間」を再現したとは大倉自身の言葉です。

金箔張りの内装や折り上げ格天井などは豪華絢爛で、火災で焼失した「明治宮殿」の趣を感じることができます。

しかし、大倉の死後は三井グループや大倉財団が運営・管理していたものの、あまりにも維持費がかかるために解体せざるを得なかったという経緯があります。単に観覧に供するだけでは税金で莫大な維持費を捻出しなければならず、新発田市には多大の財政負担がかかります。レストランとしての営業など、『蔵春閣』自身でお金を産みだす収益施設にしなければ、市民の理解は得られないでしょう。第2の県知事公舎にしてはいけません。

第2面・3面では、議会改革を進める多治見市と藤枝市を紹介しました。多治見市では車座形式での市民との対話をすすめており。藤枝市では議員が行政の全事業を評価したうえで、行政に政策提案するシステムを構築し、成果を挙げています。旧態依然とした新発田市議会の改革はまったなしです。

4面では、市農水振興課が主催するイベントを3つ、紹介しました。農産物の海外輸出で耳目を集める一方、地道な努力を続けていることにも目を向けたいと思います。

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SOPvol.70接戦の衆議院選挙、黒岩氏勝利

今号、第1面では10月22日(日)に投開票が行われた衆議院選挙の結果を掲載しました。

黒岩陣営は「安保法制容認」を踏み絵とした「希望の党」に参加せず、無所属での出馬となりました。これに共産党が支援を決めたため、参院選・県知事選と同様に野党共闘が成立しました。

黒岩前回票8万2千619票に共産党前回票1万1千214票を加えると9万3千833票、自公共闘の斎藤洋明票は7万4千319票、斎藤は差し引き1万9千514票のマイナスからのスタートとなりました。誰しも黒岩陣営の圧倒的優位とみました。

しかし、地域に作り始めた斎藤の自前組織の活動に加え、選挙中盤から二階堂市長が新発田地区選対本部長に就任し、市長の個人後援会も活動を開始し、斎藤が猛追しました。

結果は、黒岩9万5千644票、斎藤9万5千594票の50票差で黒岩勝利となりました。

今後は、「最低賃金1千円」「戸別所得補償復活」「安保法制廃止」などを公約として掲げた黒岩が、無所属という立場でこれらをどうやって実現するのか。また、「自民党の中からの改革・説明責任を果たす」「米の価格上昇」「保育・教育環境の改善」「地元での働き場所の確保」などを訴えて比例で復活した斎藤も、それらの政策をどのような手法で実現するのか、注目したいと思います。

2・3面では、「地元の食材」というだけでなく「新潟の茄子」に観光資源を絞り込んだ温泉旅館「里山十帖」のディレクター・岩佐十良(とおる)氏の講演要旨です。1泊2食で2万1千円、連日満室にし続ける仕掛けは新発田でも大いに参考になるでしょう。まさに「選択と集中」で成功をおさめた好事例です。

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SOPvol.69新「空き家条例」で空き家活用を

▲ブドウハウスの小林奈保子さん

今号、第1面・第2面では、このたび全面改訂された新発田市の新「空き家条例」について解説・提言いたしました。

現在、新発田市には約5千戸の空き家があり、全世帯の約13%にのぼります。全国平均とほぼ同じ割合ですが、このまま放置すれば、少子高齢化の加速化により、今後ますます増加します。

空き家は危険であるばかりでなく、犯罪の温床ともなり、さらにまちの美観を大きく損ね、ひいては新発田市のイメージダウンにつながります。

新「空き家条例」では、行政代執行を可能として、それに至る手順を明確化しました。そのため、新「空き家条例」は、危険な空き家の解体・撤去を目的とした条例と捉える人が多いようです。しかし、条例の真の目的は、自助・共助・公助の順に「空き家を出さない」「空き家を適正管理する」「空き家を利活用する」ことにあります。その仕組みを作り上げるための基本条例なのです。記事では他町村の「空き家利活用」の成功事例を引用・解説しました。それは「空き家バンク制度」の積極利用、「家守制度」の創設などです。新発田市でもこれらの成功事例を参考にして今後、有効で具体的な施策を練り上げなければなりません。たとえば、新発田市の空き家の1/5を解体・撤去すると20億円~40億円かかるという試算があります。財政的にとても無理な数字であり、解体・撤去は最後の手段ということです。

3面では、前号に引き続き、新発田市で活躍する「農業女子」をレポートしました。就農の目的をはっきりと「儲け」において、園芸・果樹に標準を絞っていることが見事です。適切な支援があれば、類似の新規就農者はさらに増える可能性があります。

4面では、駅前複合施設「イクネスしばた」開館1周年記念講演の概要を掲載しました。図書館経営の専門家・糸賀雅児氏によるもので、図書館はまちづくりを担う人材育成に欠かせない施設とし、そのために「適正な職員配置と十分な資料購入費」が必須としました。また、「直営か民営か」の問題では、「長い目で見れば直営」としたものの、「直営にするなら図書館職員の能力向上が必要」としました。ただし、他自治体では「図書館は公務員の吹き溜まり」といった例も数多く見られ、「直営の場合、図書館職員の士気と能力をどう担保するかが大きな課題」と指摘しました。

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