SOPvol.69新「空き家条例」で空き家活用を

▲ブドウハウスの小林奈保子さん

今号、第1面・第2面では、このたび全面改訂された新発田市の新「空き家条例」について解説・提言いたしました。

現在、新発田市には約5千戸の空き家があり、全世帯の約13%にのぼります。全国平均とほぼ同じ割合ですが、このまま放置すれば、少子高齢化の加速化により、今後ますます増加します。

空き家は危険であるばかりでなく、犯罪の温床ともなり、さらにまちの美観を大きく損ね、ひいては新発田市のイメージダウンにつながります。

新「空き家条例」では、行政代執行を可能として、それに至る手順を明確化しました。そのため、新「空き家条例」は、危険な空き家の解体・撤去を目的とした条例と捉える人が多いようです。しかし、条例の真の目的は、自助・共助・公助の順に「空き家を出さない」「空き家を適正管理する」「空き家を利活用する」ことにあります。その仕組みを作り上げるための基本条例なのです。記事では他町村の「空き家利活用」の成功事例を引用・解説しました。それは「空き家バンク制度」の積極利用、「家守制度」の創設などです。新発田市でもこれらの成功事例を参考にして今後、有効で具体的な施策を練り上げなければなりません。たとえば、新発田市の空き家の1/5を解体・撤去すると20億円~40億円かかるという試算があります。財政的にとても無理な数字であり、解体・撤去は最後の手段ということです。

3面では、前号に引き続き、新発田市で活躍する「農業女子」をレポートしました。就農の目的をはっきりと「儲け」において、園芸・果樹に標準を絞っていることが見事です。適切な支援があれば、類似の新規就農者はさらに増える可能性があります。

4面では、駅前複合施設「イクネスしばた」開館1周年記念講演の概要を掲載しました。図書館経営の専門家・糸賀雅児氏によるもので、図書館はまちづくりを担う人材育成に欠かせない施設とし、そのために「適正な職員配置と十分な資料購入費」が必須としました。また、「直営か民営か」の問題では、「長い目で見れば直営」としたものの、「直営にするなら図書館職員の能力向上が必要」としました。ただし、他自治体では「図書館は公務員の吹き溜まり」といった例も数多く見られ、「直営の場合、図書館職員の士気と能力をどう担保するかが大きな課題」と指摘しました。

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